Equinix Tokyo Peering Forum 2008

10月2日木曜日に、マンダリンオリエンタルで開催された、Equinix Tokyo Peering Forum 2008。
もともとFrance Telecomで働いていた時代からEquinixとは仲がよく、シンガポールで発表したり東京のMCをお願いされたりしていた。JPNIC事務局に着任して、ちょっとMCをやるのが憚られるようになり去年は辞退した。にもかかわらず、今年もお願いされたので、MCはやっぱりダメですが、発表させてもらえませんか、と申し入れたところご快諾いただいたので、枯渇ネタで登壇することに。ちなみに今年のMCはJANOG会長であるNTTcomの池尻さん。

グッとアグレッシブな感じに

2007年のフォーラムは欠席したので2006年と比較するのだが、大きな違いは Bill Nortonがいないことである。彼がEquinixを去ったのは今年に入ってからだった。
Bill Nortonがやった発表は、Peering White Paperと言われる、彼がいろんなフォーラムで話を聞いて(なんたって Chief Technical Liaison ってくらいですからね)、ピアリングのエコシステム(生態系)を解き明かす内容だった。
今回EquinixのUSからは、Eric Troyerというピアリングサービスのディレクターという人だった。Billの発表が探究的でニュートラルだとすると、この人のプレゼンはアグレッシブで色っぽかった。IX Europeも買ってグローバルなカバレッジが出来たり、USでもComcastピアリングのブロカーサービスのようなサービスをやっていたり、と、発表がと言うより、商売としてアグレッシブな感じになってきている。これもこれで好感。
APNIC MeetingのIX-SIGのSIG ChairをやっているRaphael Hoが、AP地域のビジネスの話を。東京第2サイトに引き続き香港も第2サイトを作るらしい。

Cisco VNI

また、Ericの発表の中で cisco VNI という言葉が出てきた。即座に何のことか分からなかったのでググってみると、Cisco Virtual Network Index と言うものが出てきた。インターネットの利用状況に関する統計情報と、向こう5年間くらいの予測が出てきていて、資料価値高そう。
http://www.cisco.com/en/US/solutions/collateral/ns341/ns525/ns537/ns705/ns827/white_paper_c11-481360_ns827_Networking_Solutions_White_Paper.html

中川郁夫さんのNGNアーキテクチャ ネタ

2番目の発表は、インテックネットコアの中川郁夫さん。これはとてもよく出来た発表。聞けてよかった。

よくある技術説明として、NGNはトランスポート・ストラタムとサービス・ストラタムに分かれている、サードパーティのアプリケーションはサービス・ストラタムにつながる、というのがある。(例えばこういう図ですね。)
重要なのは、インターネットでは、ネットワークは「愚直にパケットを送る」という機能しか担わず、他のあらゆる機能はリーフシステムで実現されるので、アプリケーションでビジネスをしようとしても課金・決済などのプラットフォームも同時に構築して提供する必要があった。NGNの最も大きな違いは、そのプラットフォームを通信キャリアが提供して、アプリケーションでビジネスを仕様とする人はこれを利用することができると言うことだ。

NGNの一つの特徴は、通信キャリアがプラットフォームも提供しようとしている、ということ。プラットフォームビジネスは、通信キャリアだけでなくいろいろな既存業種から、それぞれの強みを生かした形で参入が続いている。純粋な通信事業の市場規模は漸減。プラットフォームビジネスは増加傾向にあり、注目するべきはプラットフォームビジネスである。

みたいなことで、漠然と眺めていた絵の意味合いが良く整理できた気がした。

内容だけでなく発表も非常に洗練されていたので、気になってご本人に、「これ何回発表した?」と聞いてみたところ、「20回くらいかなぁ」とのこと。どうりで、と納得。
ちなみにネットコアではこのアーキテクチャの話はNGN関連で研究している20余領域のほんの一つだ、というのがラス前のスライドで、ラストがネットコアの会社概要。ラストのスライドなんて一言も説明していないけど、むちゃくちゃ訴求力のある宣伝だなぁ。。。もちろん内容がしっかりしているから映えるわけで。

枯渇ネタ:私とKDDI向井氏

僕は、最近の標準パタンのスライド -- 枯渇状況+枯渇の意味+国内対応状況+「お見合い状態」の説明w/gihのS字カーブスライド 見たいな感じで、JUSの時のように技術的な内容なしで。40分を若干超えてしまったけど、「あと2年でどうにか対応しないといけないんだ、と明確に言い放っているから迫力があった」的なコメントがあり、ありがたい限り。
その次に、休みを挟んでKDDI向井さんの、ネットワークオペレーション現場技術編。僕もルータのコンフィグをいじる立場じゃなくなって久しいところだけど、コンフィグレベルでv4でこうだったものがv6でこうなる、簡単じゃないね、問題山積だね、みたいな話。

この2つを合わせると「2年でどうにかしてね、問題山積だけどね」という、なんとも絶望的な話になっちゃうわけで、もう少し希望ある内容が欲しかったところでした。