IGF準備

来週はIGF - Internet Governance Forum のためアテネに行きます。
http://www.intgovforum.org/
http://www.igfgreece2006.gr/

今回印象的なのは、経団連がイニシアティブを取って日本の中の横串を通していることです。26日にはIGFミッションの結団式、なる会合が昼間ありまして、行ってまいりました。

日本からの出席者は20人程度だと見込まれます。経団連ミッションは、経団連の中のITガバナンス研究会の座長を務める、野村総研の村上さんを団長として、会員企業からの出席者と、IGFのアドバイザリーグループメンバである富士通の加藤幹之さん、JPNIC,JPRS,JPCERT/CCなどが参加しています。

1時間ほどの会合でしたが、各自が掴んでいる情報を共有し有意義な意見交換ができたと思います。政府の研究会並みに事務局機能がきちんとしていて、経団連側でも相当力を入れて情報収集をなさっているようにお見受けします。

以下ミッションメンバ皆さんの所感も混じりながら、IGFがどんな感じに見えるかを。

  1. 復習混じりながら、IGFの包括テーマは Internet Governance for Development 。メインテーマと呼ばれるものは4つあり、Openness, Diversity, Security, AccessICANNどうするとか米国覇権体制どうするとかいう話はまったくない。
  2. 政府,国際機関,そのほかの団体,メディアを含めた参加登録者は1000人を超えている。参加者リストもWebから入手可能。
  3. オフィシャルプログラムはこちら。主催者サイドが準備するメインプログラムが1トラックと、募集が掛かり、関連テーマの議論ができるワークショップが3トラックの合計4トラック。
  4. オフィシャルプログラムは、メインテーマ4つそれぞれのセッションを、例えばNHK今井義典さんなど、テレビニュースのアンカーマンの司会で進行、最終日にChair's summing-upとしてまとめを行う、という感じ。
  5. 国連のイベントということから普通に連想してしまうのは、政府担当者間で調整して声明なりコミュニケなりを発表するとか、そうでなくても何らかの結論を打ち出すための準備やネゴがあったり、というものだが、そういうことが一切ない。一日目のMultistakeholder Policy Dialogueというセッションに"Setting the Scene"という副題がついているが、正に「舞台を設定する」だけのように見受ける。

WSISチュニスフェーズの結論としてこのIGFが出てきたとき、それが強制力を持たない対話の場であるということは頭で分かってはいたのですが、そのインプリを実際に見ると感慨深いというか。
こういう会議に出席して情報収集するという仕事をやるという意味では、そういうカチカチしたところから追うわけで、それがないという会合はフワフワした印象が拭いきれないということでしょう。
しかし裏を返せばそういう会議を国連の名の下で開催して、純粋なマルチステークホルダーの対話から大きな意味のある動きが導き出せれば、例えばそれぞれ対話の結果を持ち帰って次のアクションに反映できていけば、これは新しい物事の動かし方として評価できるものになるんじゃないかと思います。

IGFのテーマが Internet Governance for Development ということになった時点で、RIRsの周りでも、ICANN体制の固持とかそういう文脈は持ち出さないほうが良いという方向性が了解されています。従ってRIRsからは相当たくさんの人々が乗り込むように見えますが、RIRs/ccTLD/ICANNISOCまで寄り集まってひとつ「ポリシ策定への参画」というテーマでワークショップを開くだけです。これも、上の対話という方針のインプリと同様、そうなることは想像できたけど実際に見ると新鮮。

そういう意味で「きな臭い」のは、ブラジル政府がオーガナイザーに名を連ねる、「ルートDNSゾーンファイルの管理」というセッションくらい、というのが見方でした。


そういうわけで、土曜日の夜に出発して、IGFに参加してきます。個人的には、NRO対ICANNの打ち合わせに、APNIC帽子で出てくれ、といわれているのが一番重たい仕事になっちゃってますが、上のような今までにないセットアップの会合の雰囲気をいっぱい吸って帰ってきたいと思います。